ファンド管理業務を「Asana」のテンプレートで見える化、少人数で多数の案件対応をこなす超効率化チームを実現

主要国の時計が並ぶオフィスの壁
  • 三菱UFJフィナンシャルグループ logo
  • 従業員数
    • 16
  • 企業情報
    • 三菱UFJイノベーション・パートナーズ

導入効果

  • タスクのテンプレート化で業務ボリュームの増加、多数のレポート作成にも対応
  • 周期の長い定型業務や非定型の業務が重なった際にも、事前にスケジュールを管理しながら業務を進めることができる
  • コロナ禍のリモートワークでもチームの生産性を落とさず作業を進めることができる

MUFG(三菱UFJフィナンシャルグループ)のコーポレート・ベンチャーキャピタル事業を担う三菱UFJイノベーション・パートナーズ。受け持つ案件数の増加に伴い、レポート業務に追われる状況に。そこにSaaS型のワークマネジメントプラットフォーム「Asana(アサナ)」への移行を決めた。Asana導入で三菱UFJイノベーション・パートナーズの制作現場は、どう変化したのだろうか。

ファンド管理部のメンバーは6名で構成されている。その業務について、主任の錦織美穗氏は次のように語る。「メンバーはそれぞれが案件(投資先企業)を複数抱え、モニタリングとレポート作成の業務を進めています。また、新規案件が発生した際は、戦略投資部の担当者と連携して投資先の調査を行い、投資委員会で検討するための資料を作成します」

Asana Case Study - 三菱UFJイノベーション・パートナーズ - ファンド管理部 主任 
錦織 美穂 氏
株式会社三菱UFJイノベーション・パートナーズ ファンド管理部 主任
錦織 美穂 氏

 MUFG(三菱UFJフィナンシャルグループ)のコーポレート・ベンチャーキャピタル事業を担う新会社として2019年に設立した、三菱 UFJ イノベーション・パートナーズ(以下・MUIP)。国内外のフィンテック関連事業を担うスタートアップ企業に対して、グループ全体のオープンイノベーションを実現するための戦略投資を行っている。投資対象は海外のフィンテック企業が大半を占める。

 基本的に1人が1社を担当し、各メンバーが個々の投資先については責任を持って調査する。だが、最終的には各投資先の状況をとりまとめ、さまざまなレポートにして投資委員会に諮るために部員間の業務連携は不可欠だ。しかし、投資先の拡大によって、1人が受け持つ案件数も5社程度に増加。モニタリングと定期的なレポート作成の業務に追われ、多忙を極めるようになっていた。

業務がサイロ化して担当者以外は

理解できない状態

 「レポートは四半期、半期、年度ごとなど、いろいろなタイミングで存在し、それぞれに様式が異なります。そのため、準備するデータもどのタイミングで揃えればいいかを考えながら作業しなければいけません。投資先が増えたことで、作業が錯綜する状況になっていました」と語るのは、ファンド管理部を統括する副部長のマージェソン香子氏である。

Asana Case Study - 三菱UFJイノベーション・パートナーズ - ファンド管理部 副部長
マージェソン 香子 氏
株式会社三菱UFJイノベーション・パートナーズ ファンド管理部 副部長
マージェソン 香子 氏

業務の性質上、資料作りと報告業務が多いのだが、期限内にレポートを仕上げるためにその時の状況で判断して毎回違う方法で進めていた。そのため、他の部員の仕事で問題が起きても、誰にもその理由がわからないことが多かった。

「業務が担当者ごとにサイロ化していることが問題でした。たとえば、何か1つ本部に報告しなければいけないことがあっても、以前に報告した人のメールボックスにしか宛先が保存されていなかったり、報告様式も定まっていませんでした」(錦織氏)

ファンド管理部では、部員の業務管理のために、当初からエクセルシートで業務のひな形(テンプレート)を作っており、基本的にはそれに合わせて仕事を進めていた。また、投資案件のレポート作成など、業務スケジュールの管理にもエクセルを使っていた。

 だが、単にエクセルに担当者を書いただけのシートでは、担当者への指示も不明確で、実際の進行状況も全くわからない。業務のテンプレートもうまく機能していなかった。「業務をすべき人が本当にできているかがわからないので、事実上エクセルの管理は使い物にならない状況でした」(錦織氏)

最適な管理ツールを求めて、「反復」という業務特性がカギに。

創業から1年ほど経った2020年のはじめには、何らかのタスク管理ツールを導入すべきだという方針が打ち出され、検討を開始した。ツールの導入は、錦織氏が主導した。

最初にテストしたのが、国産のタスク管理ツールだった。同社は金融機関のグループ企業であるため、国内にサーバーを持つ国産ツールが、利用規定上、手続きが早いということで選ばれた。

 業務の性格上、反復する業務が多いファンド管理部では、タスクをテンプレート化して管理することを考えていた。だが、その国産ツールはタスクをテンプレートで管理することはできるものの、そのテンプレートをツール上で作ることができず、別のツールで作ってからそれをインポートする必要があった。この工程に非常に手間がかかり、実用的ではないと思われた。

 他にツールがないか模索していたところ、同社の役員から聞いたツールの名前がAsanaだった。「調べてみると、当時はまだ上場前でしたが評判がよく、有名な企業で採用が相次いでいました。早速、当社でも試してみようということになりました」(錦織氏)

 結果として、この選択がジャストミートする。錦織氏は「使い始めてすぐ、これが、私たちが求めていたツールだと実感しました。そこで、すぐに本採用に向けたプレゼンの資料作りに取りかかりました」と語る。

 Asanaはタスクのテンプレートがツール内で作れることはもちろん、全体的に操作がわかりやすく、部員の評判もよかった。「2つのツールを比較検討したことで、課題に対する対応力の違いが明確にわかり、機能性と使いやすさの比較で、ほぼ満場一致でAsanaの採用が決まりました」(錦織氏)

 国産ツールとの違いは、サーバーが海外に置かれるSaaS製品であること。同社の規定により、安全性に関するレポートをグループ本部に提出する必要があった。だがこれも、すでに同様のSaaS製品で導入済みのツールが複数あったため、既存のレポートに準拠する形式でとりまとめ、問題なく承認された。

 もともとのエクセル利用からの移行にも不満はなかった。同社では、従来から業務で管理するエクセルシートが非常に多く、少しでも減らしたいという機運が高かったため、むしろ歓迎されたという。

Asana Case Study - 三菱UFJイノベーション・パートナーズ - 実際のAsana画面
で議題を事前にタスクに登録してミーテイングで担当者をアサイン

チームを活性化させるヒントをユーザーコミュニティから吸収

とはいえ、導入直後はチームでのタスクの共有がそれほど活発にはならなかった。特に、Asanaのタスク管理のポイントの1つである「タスクを他の人にアサインする」という機能が、他者への遠慮もあってなかなか活性化しなかった。

 錦織氏は利用活性化のヒントを見つけられればと、Asanaのユーザーコミュニティに通った。Asanaを使いこなすユーザー企業の有志「Asanaアンバサダー」が集うコミュニティ「Asana Together」は、グローバル3000人、国内では100人ほど(2021年9月時点)が活発に活動している。

錦織氏は国内の立ち上げ時期から参加するアクティブなメンバーである。「ユーザーコミュニティに加入するためのE-Learningで『タスクをアサインするのは、その人がタスクの全責任を負うという意味ではなく、今ボールを持っている人を示しているに過ぎない』という話を聞きました。なるほどと思いました。今まで気を遣いすぎていたのだとわかり、すっと腹落ちしたようでした」。錦織氏は早速、この考え方を部内で共有。それ以来、タスクのアサインはスムーズに進められるようになった。

 また、Asanaを使うことでタスクが可視化され、業務分担もしやすくなったとマージェソン氏は言う。「ファンド管理部では外部の協力会社を含めて週に一度ミーティングがあり、動いているタスクを全員で確認します。問題があれば、議論の中で解決のための方策を決め、仕事の分担が決まっていく流れの中でタスクがアサインされます。Asana を利用するまではチーム全体のタスクとその状況が見えておらず、特定の人がその人の判断でメンバーをアサインするという決め方でした。チーム全体でタスクを確認し、対応する(ボールを持つ)人をアサインする方法に変更したことにより、タスクをアサインすることへの心理的なハードルが下がり、ボールを持っている人が自身のタスクを消化する責任感も増したと感じています。」

リモートでもスムーズなチーム連携を実現

 導入から1年ほどが経ち、今ではAsanaはファンド管理部の業務になくてはならないものとなっている。コロナ禍でフルリモートの状況だが、Asanaがあることで、分散しているメンバーの業務の状況がわかりやすくなったと、マージェソン氏は語る。

 「私の仕事は、ファンド管理部全体の進行を見ながら、レポートなどをレビューして、他の資料も合わせて投資委員会等に提出することです。従来は手製のノートで管理したり、ポストイットを貼って忘れないようにしていましたが、Asanaの導入によって、その管理は劇的に改善しました。万一、予定よりも遅れているタスクを見つければ、それまで自分が直接タスクに関与していなかったとしても、Asana内で掘り進んでいって原因を確認し、担当者にアドバイスすることなどもできます。チーム内で起こっていることがAsanaに集約されているため、全体を可視化するのに大変助かっています」

 錦織氏は、Asanaの導入によってタスクを意識するようになり、それが仕事の効率化に結びついていると話す。「これを何日までにしなければいけないなら、その前にこれとこれをしておかなければいけない…、というように、あいまいだった業務がAsana上でタスクとしてはっきり見えるようになりました」。個人的な意識の変化だけでなく、部門内で共有することでムダな連絡がいらなくなり、それぞれの業務に集中できるようになったという。

Asana Case Study - 三菱UFJイノベーション・パートナーズ - オフィスの様子

暗黙の了解をなくし業務のマニュアル化を目指す

 第2号ファンドの設立で、投資先はさらに拡大する。業務拡大に対応するため、ファンド管理部でもメンバーを増員Asanaで議題を事前にタスクに登録してミーテイングで担当者をアサインする予定だ。

 メンバー増強にあわせて、Asanaの運用も進化させようとしている。錦織氏は、現在Asanaで管理しているタスクは、業務に慣れている人にとっては理解できるが、初めてチームに合流した人にはわかりにくい部分があると感じている。「これまでは、経験を積んだメンバー間の“暗黙の了解”が含まれていたと思います。そこを整理して、誰が見てもわかる業務マニュアルのような形に変えていきたいと考えています」

 目下の課題は、他部署とのタスク共有だ。Asanaは、ファンド管理部の業務とは非常に相性がよかったが、業務内容が異なる社内の別の部署では、メールやTeamsの利用が依然として多い。たとえば投資先を開拓する戦略投資部のメンバーは、部署間の連携が少なく、単独行動が多いため、タスク共有のメリットをそれほど感じていない。ファンド管理部のメンバーがAsanaの利用を呼びかけても、返事がメールで返ってくるようなことも多いという。

 錦織氏はここでも、ユーザーコミュニティの知見を活かせないか模索している。「『ノーメールデー』の設定や、タスク完了時のリアクションの活性化など、Asanaを楽しみながら利用促進するコツがあることを知りました。当社でも取り入れていければと考えています」(錦織氏)。自由度が高いAsanaであれば実現できるという期待を持ちながら、粘り強く取り組んでいる。

 「今後は、残さなければいけない議事録を作る際に、議事録用のタスクのテンプレートをAsanaで作って、それに沿って入力することを考えています。ちょうど試行錯誤の最中です。Asanaは、新しいことをやってみたくなる、期待を持たせてくれるツールです」

 Asanaを得て、錦織氏が考えるチームワークの改善アイデアは、とどまるところを知らない。全社のタスク管理と仕事の管理基盤として、Asanaが更なる価値を発揮する日はきっと来るにちがいない。