PDCA とは?業務改善に役立つフレームワークの基礎知識を解説

Julia Martins 寄稿者の顔写真Julia Martins
2024年3月28日
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Plan (計画) - Do (実行) - Check (評価) - Act (改善) (PDCA) サイクルとは? 記事バナー画像
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概要

業務改善に役立つ PDCA は、多くの企業で採用されています。PDCA とは何か、そのメリットとデメリット、活用すべき場面、PDCA サイクルの 4 つのステップなど、こちらの記事を参考にして、これからのプロセス改善に役立ててください。

更新: この記事は、PDCA を成功させるポイントに関する記述を含めて 2024年 3月に改訂されました。

多くの企業が業務改善のために用いる PDCA。柔軟性があり、繰り返し改善を行うことで、業務の継続的な改善と問題解決ができる優れた手法です。この記事では、PDCA とは何か、そのメリットとデメリット、PDCA サイクルの手順を解説します。


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PDCA サイクルとは?

PDCA ってどういう意味?

PDCA とは、Plan、Do、Check、Action の頭文字を取った略語です。日本語では「計画」「実行」「評価」「改善」を意味する 4 つの単語からわかるように、PDCA は計画し、実行に移し、それを評価し、改善していくフローを意味しています。最後の「改善」後に再び「計画」へ戻ることで業務を繰り返し改善していくことができるわけです。これを「PDCA サイクル」と呼びます。

PDCA サイクルとは、プロセスを改善し、変更や対策を実施するためのインタラクティブな問題解決および業務改善戦略です。一回限りのプロセスではなく、反復とプロセス改善のための継続的なフィードバックループであり、PDCA サイクルを回すことで、チームは継続的な改善サイクルの中で、仮説を立て、それらの仮説を検証し、改善していきます。

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ビジネスシーンだけでなく、日常でも PDCA は活用することができます。PDCA の簡単な例を挙げるとすると、たとえば、寝坊を減らすために目覚ましをかける (計画)、スマホのアラームを設定する (実行)、アラームが鳴っても消して二度寝してしまう (評価)、スヌーズ機能をオンにして、アラームを 5 分おきに鳴らす (改善)。これが、PDCA サイクルです。

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PDCA サイクルの起源

PDCA サイクルは、統計的品質管理の父であるアメリカの物理学者ウォルター・シューハートにより初めて導入されました。著書「Economic control of quality manufactured product」の中で、シューハートは、経済的品質管理に科学的手法を適用したのです。 

シューハートの理論は、同氏の業績の擁護者であるアメリカの統計学者 W・エドワーズ・デミングによりさらに発展を見せました。デミングはシューハートの考え方を拡大して、科学的手法を品質管理だけでなくプロセス改善にも適用しました。

デミングは、この手法を「シューハートサイクル」と呼び、日本の技術者に講義しました。シューハート・サイクルは、「カイゼン」(石川馨により開発された継続的改善の日本における原則)、「トヨタ生産方式」、「リーン生産方式」と混ざり合い、現在私たちが PDCA サイクルと呼んでいるものになりました。 

今日、PDCA サイクルは、リーンプロジェクト管理の一環として広く用いられています。

ちなみにこの手法には、以下のようにいくつもの名がつけられています。

  • Plan-Do-Check-Act サイクル、略して PDCA サイクル

  • デミングサイクル、またはデミングホイール

  • シューハートサイクル

  • 管理サイクル

  • Plan-Do-Study-Act サイクル、略して PDSA サイクル

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PDCA はいつ使う?

PDCA サイクルは、プロジェクトマネジメントやプロセス改善における問題点へのアプローチ方法および解決方法のフレームワークです。そのため、幅広いプロジェクトで実施できます。

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PDCA を活用するチームは、継続的かつ効果的に改善要素を取り入れることができます。PDCA サイクルは、エンドツーエンドプロセスに使用するより、むしろ継続的な改善を保証し、反復プロセスを実装するために使用します。

PDCA は以下を必要とするケースに特に役立ちます。

  • 反復作業の合理化および改善

  • 新しい業務プロセスの開発

  • 継続的改善の開始

  • 変化を迅速に反復しすぐに結果を得る

  • エラーを最小化し結果を最大化

  • 複数の解決策の迅速な検証

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PDCA の手順は?4 つのステップを解説

PDCA プロセスの 4 つのフェーズには、それぞれ、計画、実行、評価、および改善の名前がつけられています。注目すべきはこのプロセスはサイクルであることで、最後の “アクション” プロセスに到達したら、最初からやり直すことができます。

1. 計画

すべてのプロセス改善またはプロジェクト計画の最初のステップは「何をする必要があるのか」を見つけること、つまり目標設定です。プロジェクト計画と同様に、PDCA の計画段階では、まず以下に挙げる項目を決定しましょう。

PDCA サイクルは、幅広いプロジェクトに適用できます。一からプロジェクトをスタートする場合でも、プロジェクトの品質改善手段として PDCA を使用する場合でも、プロジェクトを軌道に乗せるためには計画段階で時間をかけてしっかりとプランを立てるのが最適な方法です。 

PDCA はサイクルであることを覚えておきましょう。このサイクルは、何度も回すことになるでしょうから、最初のサイクルですべての改善策や改善案が出なくても大丈夫です。PDCA を回すたびに、プロジェクトプランがプロジェクト目標に対して最新かつ正確であるかを評価します。

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2. 実行

プロジェクト実行計画が固まったら、次のステップは実際に試すことです。PDCA では、他のリーンプロジェクト管理と同様、段階的に小さな変化を取り込んいきます。このステップは「試す」段階でもあるので、一度にすべてを行わずに、プロジェクト計画を小規模で実行し、その効果と結果をチェックします。

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3. 評価

PDCA サイクルの Do フェーズで実施したテストが計画通りに進んでいるかを振り返り、確認します。多くの場合、ここで改善点は何かがわかります。見つかるのは小さな改善点かもしれません。しかしその小さな改善すべき点が大きな問題につながる可能性は十分にあります。そうなる前に早期アクションを取ることが重要です。 

必要に応じて、プロジェクト計画を再度見直しして、プロジェクトの目標達成ができているかを確認します。また、プロジェクト計画の変更の必要性に気づいた場合にも、スピーディに変更できるでしょう。

4. 改善

評価がすんだら、最終段階である「改善」フェーズに移動します。このフェーズでは、プロジェクト改善やプロセス改善を全面的に展開します。PDCA サイクルはサイクルであることを忘れないでください。必要ならば、計画フェーズに戻り、継続的な改善を試みます。

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PDCA サイクルのメリットとデメリット

PDCA サイクルは、継続的改善のための強力なツールですが、このサイクルの使用にはいくつか短所もあります。ここでは、PDCA サイクルのメリットとデメリットをご紹介します。

PDCA のメリット

  • 継続的改善を始める機会を探しているチームに有用である。

  • あらゆるプロジェクトに対して使用できる柔軟な手法である。

  • 変更の迅速な実施と効果が確認できる。

  • PDCA を標準の業務手順として用いることで、プロジェクトマネジメントオフィス (PMO) を使用せずに組織全体の標準化の程度をアップさせる。

  • 実績のある継続的改善手法である。

PDCA のデメリット

  • PDCA サイクルを特に効果的にするには、企業のトップ層からの支援が必要である。

  • サイクルを何度も回さないと結果が得られない。サイクルを一度しか回さない計画の場合には、効果的な手法ではない。 

  • 実施と学習には時間を要する。

  • サイクルを何度も回すことが必要なため、緊急性の高いプロジェクトには不向きである。

PDCA は古い?なぜそう言われるのか?

昨今、PDCA はもう古いと言われることがあります。その最大の理由は、前述した「時間を要する」ことです。時間がかかりすぎてしまうサイクルでは、いくら業務改善に役立つと言ってもマイナスポイントが目立つようになってしまいます。

スピード感で劣る PDCA に代わり、最近では OODA という手法を使う組織も増えました。OODA (ウーダループ) は、Observe (観察)、Orient (状況判断、方針決定)、Decide (意思決定)、Action (改善、行動) という 4 つのステップを回すフレームワークで、PDCA よりもスピードアップして実行できます。

PDCA を成功させるポイント

ここでは、PDCA を回して目標を達成するためのヒントをいくつか紹介します。

  • 明確な目標設定を心がける: 目標はできるだけ具体的で測定可能なものになるよう心がけます。目標が明確なら、PDCA フレームワークもその有用性を発揮できます。具体的に期限を設けることも忘れないようにします。

  • チーム内で効率的に情報共有を行う: PDCA はチームメンバー同士のコミュニケーションが不可欠です。PDCA の効果を最大限引き出すためには、チーム内で効率的に情報共有を行うようにします。

  • 振り返り文化を定着させる: 改善のためのアイデアを実行に移すのは多くのチームで行われているプロセスです。しかし、PDCA で重要なのは、その実行フェーズを振り返り、そこから改善点を探ることにあります。この作業が定着すれば、持続的な改善を実現することができます。

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PDCA を回して継続的な改善を実行する

PDCA サイクルとは何か、その意味とメリット、デメリット、実行ステップ、PDCA を成功させるヒントを解説しました。PDCA サイクルは、継続的改善と問題解決を実施する効果的な手法ですが、適材適所で用いるようにしましょう。

PDCA サイクルを最大限に活用するには、プロジェクト計画ツールを活用することがおすすめです。すべての従業員が使用する唯一のツールであれば、プロジェクトの運用や進捗管理も効率化し、仕事の生産性も上がります。ファイルやデータ、プロジェクト成果物の共有もスムーズにできる Asana のようなサポートツールをお選びください。

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PDCA に関するよくある質問

Q: PDCA とはどういう意味ですか?

A: PDCA は、「Plan-Do-Check-Act」の頭文字を取った管理手法で、計画、実行、評価、改善の 4 つの段階を繰り返し行うことで業務プロセスの改善を促進するフレームワークです。

A: PDCA の主な目的は、業務プロセスやプロジェクトの持続的な改善を実現することです。具体的には、問題の発見と解決、効率性や品質の向上などが挙げられます。

A: PDCA は、新しいプロジェクトや業務プロセスの立ち上げ時、既存のプロセスの改善が必要な時に使用されます。柔軟性のあるフレームワークなどで、さまざまなタイプのプロジェクトで使用可能です。

A: PDCA のデメリットは、時間がかかるプロセスであることです。PDCA は一度きりではなく、何度も回して継続的な改善を目指すものなので、緊急性の高いプロジェクトや期限まで時間のない場合は、その効果を十分に発揮できない可能性があります。

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